2024年の中国自動車市場で最も注目を集めたのは、時流の中心にいるBYDや吉利、長城汽車ではなく、“理系男子”のキャラクターを打ち出したチェリーだった。

チェリーの2024年の販売台数は260万台を超え、前年比38％増を記録。過去最高の成果を達成した。

他の自動車メーカーが新エネルギー車（NEV）を頼りに海外市場に進出している中、チェリーは燃料車で22年連続で中国ブランド乗用車の海外販売チャンピオンに君臨しており、その海外市場でのポジションは現代自動車をも上回る。

まさに中国自動車の“グローバルNo.1”と呼ぶにふさわしい存在だ。

チェリーが2025年にBYDに挑戦するという計画は、一見すると夢物語のように聞こえるかもしれない。しかし、かつてBYDが一汽-フォルクスワーゲンを超えたこともまた、中国自動車業界では“不可能”とされた挑戦だった。

データが示す現実とチェリーの野望

BYDの2024年の乗用車販売台数は425万台、前年比41％増を達成している。この数字に基づけば、チェリーがBYDを追い越すためには、少なくとも倍増するような成長が必要だ。これは現在の競争が激化している中国市場において非常に高いハードルだ。

しかし、チェリーが設定した2025年の目標は、業界の平均成長率を10％～20％上回る“高品質な成長”であり、彼らの「妥協しない」姿勢は単なるスローガンではない。

2024年のチェリーグループの販売明細を見ると、海外市場が総販売台数の約半分を占めており、C-DMプラグインハイブリッド車を中心とした新エネルギー車の成長率は232％に達している。これこそがチェリーが2025年にBYDに挑戦する根拠となる。

チェリーは“業界で唯一、新エネルギー車、燃料車、海外輸出、国内市場の4つの軌道で全面的な成長を遂げた企業”だ。この事実からも、海外市場は既にチェリーの“堀”となっており、新エネルギー車の急成長がさらなる発展の機会をもたらすことが見て取れる。

製品の拡充と海外戦略

2024年には、チェリーの5つのブランドが新製品を集中的に投入した。

瑞虎7、瑞虎8、瑞虎9などの人気モデルには燃料車とハイブリッドの両バージョンが追加され、さらに風雲A8、風雲T9、星紀元ET、山海T2、iCAR V23、智界R7といった新エネルギー車もラインナップされた。これらがチェリーの海外市場での加速成長を支えている。

海外市場での年販売台数が100万台を超える規模を持つチェリーは、新エネルギー車の海外展開において、他の中国自動車メーカーよりも迅速かつ安定した進展が期待される。この分野でチェリーはBYDに“追いつくチャンス”を与えるつもりはないようだ。

中国自動車市場の未来とチェリーの位置づけ

2025年の中国自動車市場は、合弁企業の再起、従来型自動車メーカーの全面的な転換、新興EVメーカーの拡張が絡み合い、これまでにない競争の激化が予想される。

その中で、チェリーは燃料車と新エネルギー車、国内市場と海外市場の4つの軌道での同時発展戦略を堅持しており、競争に対する万全の準備と「妥協しない」実力を示している。

2025年はチェリーのフラッグシップイヤーとなるだろう。チェリー、星途、捷途、iCAR、智界の5つのブランドが重磅モデルを次々と投入し、第二のBYDとも呼ばれる存在が誕生しつつある。